(株) AMT一級建築士事務所 代表取締役 都甲 栄充 のミッション

AMTのポートフォリオ

「建物を造る」 ゼネコンの経験値

私のキャリアは、18年間の大成建設での勤務が基盤となっています。
その期間中、商業ビルからマンション、工場建築、そして川内原発の建築、また都市開発では新たな街を計画しつくる、といった多様なプロジェクトに関与しました。
私の経験は、個々の現場から大規模なJBプロジェクトまで、建築のあらゆる側面をカバーしています。
これらの経験は、私の深い専門知識と広範な視野を形成する重要な要素となる一方、人生における大切な人たちと出会いその後も続く人脈を築いてきたといえます。

「街をつくる」ディベロッパーの経験値

私のキャリアの第二章は、ディベロッパーである住友不動産で展開されました。
ここで私は、多数のビルのテナントの原状回復や新規テナント工事の建築監理や品質管理を手がけ、見積もりの精度を高め、短時間での見積もり算出を可能にしました。
また、これまで経験のなかった木造住宅の建築監理にも携わる機会があり、より広範な視野と確かな目を育てることができました。

これらの経験は、私の専門性と柔軟性を深め、さまざまな建築課題に対応する力を養いました。

「一消費者」 マンション管理組合理事長の経験値

私の人生には、自宅でのマンション管理組合理事長としての経験が大きな役割を果たしています。
住民が個人で建物の問題を管理会社やディベロッパーやゼネコンに伝えても理解されず、不具合を証明する必要がありました。
その時、私は消費者として立ち上がり、自身の技術力と目利き力を活かして問題解決に取り組みました。しかし、解決までには当初はかなり時間がかかり、それは私にとって大きな学びとなりました。それ以来、私は困っている人々と事業者の間に立ち(これは逆の場合もありますが)、公平な視点で建築に関する問題解決に全力を尽くすことを心に誓いました。

「建築裁判鑑定人」弁護士との出会い

私のキャリアは、ディベロッパーを退職した翌日、自身の会社「株式会社AMT一級建築士事務所」を設立し、新たなステージを始めました。
そして、私は興味があった建築裁判の鑑定人としての役割を引き受け、新たな道を歩み始めました。
その後、弁護士の研修中に建築家としての視点から建築瑕疵の問題について話す機会があり、業界団体からもセミナーの依頼を受けるようになりました。
さらに、建築裁判でも弁護士と共に活動し、公平な視点で建築に対する意見を述べる機会を得ました。
これらの経験は、私のネットワークを広げ、多くの優れた弁護士との接点を作り、現在の仕事につながる貴重な経験となりました。

「東日本大震災3.11」とその後

「東日本大震災3.11」の2週間後、マンション管理組合連合会の依頼で、出張中の富山から仙台へ長い時間をかけて車で向かい、その壮絶な現実を目の当たりにしました。
マンションの屋上に設置してあった塔屋が倒れて地上に落下していたり、壊れて大きく傾いたマンション、コンクリートの強度不足により、外壁に大きな穴が空いて壊れてしまったマンション、また、そこに住む人たちの生活の大変さも伝わってきました。

自宅に住み続けられず、住宅ローンが残っているのに別にアパートを借りなければならないこと、事業をされている方も店舗が流され従業員もバラバラになり事業が継続できなったこと、働く場も失ってしまったことなど、いろいろな現場を見ていろいろな声を聞いてきました。

そんな時、建築家の目からはどう見ても「全損」とみられる建物に「半損」の判定が出て、住民の方が困っているのを目の当たりにしました。そこから保険の建築判定にもかかわるようになり、多くのマンションで判定が覆され少しでも住民の負担を減らすことができ、社会に貢献できたと自負しています。
この経験は、私の専門性と人間性を深め、より強い使命感「世のため、人のため」と思う心を育てることとなりました。



理事長の手記   ~ お客様の声 ~

あまりにも多いヒビ割れ!

私は築8年目の中規模マンション(77戸)の6年目から3年継続して理事を務め、現在は理事長である。
3年前の5期理事会において、管理会社から計画されている屋上防水保護塗装と鉄部塗装への提案が有り、確認のため初めて屋上へ上がったところあまりにもヒビ割れが多い。

理事の一人であるA氏が知人であるM一級建築士に見てもらったところ「今まで見たことが無いくらいのヒビ割れで、施工管理が悪かったのだろう。すぐに雨漏りなどの問題になる訳では無いが注意深く見守る必要がある。」とのコメントであった。

その後A氏は、同じ理事会のB氏、その他1名を誘い修繕委員会を5年目の理事会任期が終わる直前に立ち上げた。
私は輸番制の6年目の理事になる予定であったため、この立上げ直後に参加し理事会と修繕委員会を兼務して、M一級建築士以外にも何人かに屋上を見てもらった。
5社ほどの改修専門業者、構造系で建物診断を行っている一級建築士や、管理会社の長期修繕を計画・提案・監理している一級建築士にも現場を見てもらったが、「確かに通常よリヒビ割れが多い、早目に手を打ったがいい。」とは言われるものの、なぜこのように多いのか原因の調査方法に関して提案してくれる建築士はいなかった。
そのなかで一人の建築士は、「建物にはスリットと言うものが有り、図面通りに施工されていない場合がある。」とのヒントはくれたものの、その確認方法にまでは知識が無かったようだ。
このように全く専門知識の無い素人集団の理事会、修繕委員会は、おかしいと思つていても信頼出来ない管理会社には頼れず事態を進める決断を出来ずに漂っていたのである。

・解散した修繕委員会

前述のA修繕委員長は、自分たちが勉強し周囲の専門家の知見を伺い自ら問題解決するのだと言う方針で、設備の不具合を次々と発見し売主に指摘することにより補修させ成果を上げていった。
しかしながら建物に関しては、見える部分の不具合については、売主に指摘し補修するとの回答を得たものの、その補修仕様は修繕委員会としては不充分であると判断していた。
また他に隠れた大きな瑕疵があるのではないか? ヒビ割れから錆汁が出たり、漏水したりするなどのより重い症状が出てくるまで、M一級建築士の助言も有り保証が切れる10年目まで粘ろうとの方針であった。
私とB修繕委員はA修繕委員長の問題解決の到達点が見えない方針に振り回されていた。
理事会で審議することなく売主への書簡の発送を要求したこともあった。
修繕委員会とは関係の無い他の理事会審議事項にまで横槍を入れるなどが重なり頭を痛めていたのである。
そんな時、住民より意見書が理事会へ出された。理事会が修繕委員会に振り回されているのではないか。
住民のために修繕委員会が頑張ってくれているのには感謝するが、素人では判断の結果に責任や保証が持てないのであるからプロの専門家を顧問契約すべきであるとの内容であった。
この意見書の内容が的を得ていたためか、突然A修繕委員長は辞任した。これと前後して他の修繕委員も全員辞任し修繕委員会は解散した。

・構造スリットの瑕疵の疑い

事実上修繕委員会で行つていた売主との交渉事項も理事会ですべてを推進して行かなくてはならなくなった。
また年度が替わり私以外は新しい理事に全員が交代したことも有り、外部スタッフの力を借りることにした。
外部スタッフとしてマンション管理士と一級建築士の選定に入り、知人の紹介でベテランのマンション管理士であるS氏と、このS氏の紹介で都甲一級建築士と出会うことが出来た。
都甲氏は元大手ゼネコン、大手デベロッパー出身で、東京地方裁判所の民事調停委員でもあり、双方が納得出来る紛争解決への造詣が深く、現場主義を貫かれており現物の証拠が何より効果的だと言われている。
都甲氏との面談初日に次回は現場を見ましょうとの提案が有り、2回日にはざっと建物を見て調査の一端をやっただけで、ほぼ確実に瑕疵があると断定した。
これが「構造スリット」だった。
ほんの1時間程度の調査で瑕疵だと言ってのける都甲氏には驚かされた。
調査同日、都甲氏が現在大規模修繕の工事監理を行っている他のマンションの現場で同じ構造スリットの瑕疵を見せてくれるということで、現場に同行した。
構造スリットの不具合を露出させた状況を見ることが出来、どのような瑕疵なのかを具体的に説明して頂いた。
素人が見てもこれはひどいと言える状態で、これと同じものが自分のマンションにもあるのかと思いゾッとした。

・奇跡の出会い!

この人物しかいない!都甲氏との出会いは奇跡と言える確率の幸運で、まさに宝くじに当たったようなものである。
この出会いを活かして売主との交渉を有利に進めるために顧問契約しかないと思い、すぐに理事会で提案し理事に面談してもらった。
その後臨時総会にて顧間契約を上程し、無事に議決することが出来た。
顧間になって頂いた直後に売主、設計会社、施工主との面談を行い、構造スリットの疑いを説明したが、この段階では構造スリットはご存じでも、不具合がどのように重大な問題なのか認識出来ていないようであった。
この構造スリット調査は都甲氏自身が行い調査費用の負担を売主へ提案したが、売主は管理組合側に立つ顧問建築士が行うのは公平では無く、第二者である調査会社による調査でないすればと支払えないとの立場であった。
都甲氏によれば、ゼネコンの顔を伺いながら仕事をしている同じ業界内の調査会社では、公平な立場で調査など出来るものでは無く、これこそが不公平との見解だつた。
そこで都甲氏からは、腹をくくり自分たち管理組合の費用で最小限の調査を行いゝ瑕疵の現物を売主に見せ瑕疵を認めさせるしかないと提案された。
理事会で各理事は、調査費用を管理組合で負担することに対してまた金額に対しても迷われていたが、最小限の費用であればと言う事で全員了承した。

・一次調査

3日間の予定で一次調査に入つた。
始めの2日間で約100か所の構造スリットの約3割に瑕疵の疑いが濃厚であるとの結果であつた。
そこで3日目には、このなかから2か所の柱のコンクリートを研った。
中の鉄筋にもたれかかつている構造スリットをものの見事に発見した。
理事会で承認を受けていると言っても、共有部に大きな音を立てて穴をあけるのであるから、正直なところほんとに構造スリットの不具合が出てくるのか非常に不安な側面もあつたが、施工時の不備による瑕疵の中で最も重大な瑕疵である「柱の断面欠損」が出てきたのである。
都甲氏に発見して頂いた柱のコンクリート内部の断面欠損は、買主である管理組合だけでは通常は発見出来ない隠れたる瑕疵で、特に柱は構造耐力上主要な部分に該当し、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)で新築住宅に関する10年間の瑕疵担保責任が義務付けられている箇所で、修補請求と関係する損害賠償を請求出来ることになる。
これらの建築と絡んだ法律的情報は素人の管理組合では内容や重要度がほとんど理解出来ず、都甲氏より丁寧な解説を何度か間くことでやっと理解出来た。

・売主からの回答

この調査の後、売主との現場での確認と調査報告書の提出を行った。
数日後ついに売主から都甲氏による構造スリットの2次(全数)調査の費用負担を行い、管理組合との協議によって不具合箇所の補修も売主側で行うとの書簡を引き出した。
顧問建築士として契約後、一次調査と売主側との現場立会い確認会を含む3回の打合せを経て売主から回答が届くまで約1か月半、私が都甲氏と出会ってから合計でもたつたの4か月の間の出来事である。

管理組合ではそれまで2年以上もかけて売主との書簡のやり取りをして膨大な時間を費やしてきたが、都甲氏は不具合を実際に見ることが出来るように露出させ、「構造スリットによる柱の断面欠損」を動かぬ証拠として提示し短期間で売主に瑕疵を認めさせた。

その後数回の協議と施工主の現場確認を経て、最終的には3割に及ぶ構造スリットの不具合箇所の補修、以前より申し出ていた12項目の不具合箇所の11項目についての補修、構造スリット調査時に発覚した外壁タイル面の浮き部分の補修も同時に行うとの回答を得ている。

1年前では想像も出来なかつたほぼ満額回答となった。
今後大事なのは、実際の補修方法とその実施となるため、都甲氏による売主との技術的な協議と補修工事監理を条件としている。

都甲氏によると、他のマンションでも同様な事が当然起こっているとの事であり、建築業界の体質が改善されない限りこの構造スリットの瑕疵問題は無くならないであろう。

その中で竣工後10年以内にこの暇疵を発見出来たのは、まさに不幸中の幸いであつた。
素人集団の管理組合・理事会には都甲氏のような迅速で確実性のあるプロフエッショナルな顧間が必須であると思う。
都甲氏には理事会・管理組合一同大変感謝している。

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